The Sake Wire

「現代の名工」の杜氏と高清水、金賞返り咲き

20回連続金賞の記録が途切れてから1年、「高清水」が日本の新酒鑑評会で金賞を取り戻した。その中心には70歳の名杜氏がいた。

酒蔵(イメージ)
酒蔵(イメージ) — 写真: Celuici(wikimedia, CC BY-SA)

2026年春の「全国新酒鑑評会」で、秋田酒類製造(Akita Shurui Seizo)の御所野蔵が出品した「高清水(Takashimizu)」が金賞を受けました。全国新酒鑑評会は、その年に造られた新酒の出来栄えを全国規模で審査する、日本酒の世界で最も注目される品評会の一つです。蔵がある秋田県は本州北部の日本海側にある米どころで、今回は県内から9銘柄が金賞に選ばれました。

20回連続の記録と、途切れた1年

酒蔵(イメージ)
酒蔵(イメージ) — 写真: Cindy Bissig(Unsplash)

高清水は一昨年、全国新酒鑑評会で20回連続となる金賞の記録を打ち立てました。日本酒専門メディアSAKE Streetによると、2020酒造年度の時点で続いていた連続金賞の記録のうち、最も長かったのが高清水の17回でした。ところが昨年は金賞を逃します。今回の受賞は、その1年を経ての復帰です。

秋田酒類製造は1944年創業です。1970年代以降は東京を中心とする首都圏にも販路を広げ、ネオン看板やテレビCMで全国に知られるようになりました。製造所は秋田市内に2か所あり、そのうち御所野蔵は1998年にできた比較的新しい蔵です。

「現代の名工」と10人の蔵人

御所野蔵の酒造りを率いるのは、杜氏(とうじ。蔵の醸造責任者)の加藤均さん(70)です。加藤さんは、日本の厚生労働省が卓越した技能者を表彰する「現代の名工」に選ばれています。杜氏からの選出は年に1人あるかないかという狭き門です。加藤さんと10人の蔵人(くらびと。蔵で働く職人)が少数精鋭で造りを立て直しました。朝日新聞は、この金賞復帰の舞台裏には、70歳を迎えた杜氏の「覚悟」があったと伝えています。

鑑評会に出す酒は、蔵が技術を最大限に注ぎ込む特別な一本です。SAKE Streetが取材した別の蔵の杜氏も、出品酒づくりで磨いた技術は市販の酒にも生かされると語っています。

ヨーロッパでどう楽しむか

鑑評会の出品酒の多くは大吟醸タイプです。大吟醸は米を大きく磨いて造る、華やかな香りの酒です。精米歩合は、玄米をどれだけ残したかを示す数字で、小さいほど多く磨いています。大吟醸や吟醸の酒は、10〜12℃ほどに冷やし、香りが立つワイングラスで飲むのがおすすめです。白身魚やあっさりした前菜とよく合います。金賞は特定の1本だけでなく、蔵の技術に対する評価でもあります。販売店の説明やラベルに「全国新酒鑑評会 金賞」とあれば、造り手の力量を知る手がかりになります。同じ蔵の普段使いの酒にも、その技は生きていると考えられます。

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