尾道のラガー職人が造る伊予柑ハードセルツァー
広島・尾道のしまなみブルワリーが、ビールの醸造技術で造る柑橘ハードセルツァー「しまなみ超いよかんサワー」を2026年9月16日に発売した。

ビール醸造で造る「サワー」とは

日本の居酒屋で定番の「サワー」は、焼酎などの蒸留酒を炭酸水で割り、果汁を加えた飲み物です。広島県尾道市のクラフトビール醸造所、しまなみブルワリーはこれを別の方法で造りました。まずビールと同じように麦芽を発酵させ、色のない澄んだ醸造酒を造ります。欧米で「ハードセルツァー」と呼ばれるアルコール入り炭酸水です。これに果汁を加えて仕上げるため、日本の酒税法では麦芽を使った発泡酒に分類されます。新商品「しまなみ超いよかんサワー」では、瀬戸内海をはさんだ対岸の四国・愛媛県で採れた伊予柑の果汁をたっぷり使いました。伊予柑は皮が厚く果汁の多い、日本の在来のみかんの仲間です。ブルワリーによれば、蒸留酒のサワーとは違い、醸造酒ならではの穏やかな発酵の香りと自然な甘みが出るよう工夫を重ねたといいます。
伊予柑の甘み、レモンの酸味、そして氷

ひと口目にくるのは、伊予柑のみずみずしい香りと、はっきりした甘み。そこにレモン果汁を加えて酸味を足し、後味を軽くしています。すっきり飲めるよう、アルコール度数は3.0%と低めです。ブルワリーのおすすめは、氷の有無で飲み比べること。氷を入れると引き締まったシャープな味わいに。氷なしでグラスに注ぐと、温度が上がるにつれて酸味が和らいでまろやかになり、酵母の香りも立ってきます。容量は350ml缶で、要冷蔵、賞味期限は6か月です。
ラガー職人が率いる小さな醸造所
オーナーブルワーの松岡風人氏は、東京農業大学で醸造学を学んだあと、山梨県の八ヶ岳ブルワリーで醸造長を務めた人物です。2020年、英国で開かれた国際審査会「ワールド・ビア・アワード」で3つのビールが最優秀賞に選ばれたのをきっかけに独立し、故郷の広島で2023年に醸造を始めました。小規模醸造所には珍しく、ラガーが主力です。ドイツ産とカナダ産の麦芽を使う看板商品「ストライクピルスナー」は、同アワードのクラシックピルスナー部門で2024年・2025年と2年続けて日本の最高賞を受けました。シリーズ第1弾の「しまなみ超レモンサワー」は2025年度グッドデザイン賞を受賞しています。ブルワリーによると、国内のマイクロブルワリーのクラフトビールとしては初めての受賞です。
今のところ販売はブルワリーの公式サイトが中心で、ヨーロッパでの流通は発表されていません。それでも、ヨーロッパの読者にとって見どころは十分あります。レモンとライムが主流のハードセルツァーに、日本の柑橘という新しい選択肢が加わったこと。そして、実力派のラガー醸造所が低アルコールの果実系ドリンクに取り組んでいることです。もし手に入ったら、要冷蔵の商品なので必ず冷やしたまま保管し、氷ありと氷なしで飲み比べてみてください。日本のクラフトビールを扱う専門店では、同じ醸造所のピルスナーと並べて、造り手の技術の幅を確かめるのもおすすめです。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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