焼失した笹正宗酒造、仲間の蔵で酒造りを再開
6月の火災で蔵を失った福島県喜多方市の笹正宗酒造が、近隣の酒蔵に仕込み場を借りて酒造りを再開した。
福島県喜多方市の笹正宗(ささまさむね)酒造は、2026年6月の火災で酒蔵を失いました。その笹正宗が8月7日、隣町の会津坂下町にある曙(あけぼの)酒造の仕込み場を借りて、酒造りを再開しました。喜多方市は福島県西部の会津地方にある市で、会津は冷涼な気候と良質な水に恵まれた日本酒の産地として知られています。笹正宗は火災の前に、今期の酒造りのための酒米を大量に仕入れていました。その米を無駄にしないよう、地域の蔵元仲間が手を差し伸べました。
仲間の蔵で、まず麹づくりから

再開の日、笹正宗で製造責任者を務める岩田高太郎さん(42)は、蒸した米を背負って運び、少量ながら麹(こうじ)を造りました。麹は蒸した米に麹菌を繁殖させたもので、米のでんぷんを糖に変える役割を担います。日本酒造りに欠かせない出発点です。高太郎さんはこれまでも、曙酒造が忙しい時期に仕込みを手伝ってきました。そのため、慣れた場所での再スタートになりました。曙酒造の鈴木孝市社長(42)は、自社の酒造りと両立できるよう、なんとか工夫したいと話しています。
蔵同士の連帯と地域の支え
会津若松市の宮泉銘醸も、笹正宗の酒蔵が再建されるまで仕込み場を貸し出します。ほかにも協力を申し出ている酒蔵があるといいます。日本の酒蔵は互いに競い合う関係ですが、非常時にはこうして支え合う結びつきが残っています。
高太郎さんの弟で笹正宗の社長を務める岩田悠二郎さん(39)は、福島市で記者会見を開きました。火災を免れた貯蔵タンクには純米酒が残っていました。純米酒とは、米・米麹・水だけで造る日本酒の区分です。この酒を火災後に瓶詰めした約5千本を、福島県内で販売するといいます。悠二郎さんは、地域があってこその酒蔵なので必ず地元で酒造りを再開したい、と語りました。福島県酒造組合の清野和浩専務理事によると、組合が呼びかけた募金には7月末までに2688万円が集まりました。募金は蔵の解体や復旧、事業の再建に使われます。
ヨーロッパの読者へ
今回の純米酒は福島県内だけで販売されるため、ヨーロッパで手に入れるのは難しいでしょう。それでも、この話をきっかけに会津の酒を楽しむことはできます。専門店やレストランで会津地方の日本酒を見かけたら、ぜひ試してみてください。ラベルで純米酒の表示を確かめ、少し冷やした状態と常温とで香りや口当たりの違いを比べるのもおすすめです。一つの蔵を地域の仲間たちがどう支え、元の場所での再建へつなげていくのか。その歩みを追うのも、日本酒を知る楽しみの一つです。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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