The Sake Wire

ニッカ余市蒸溜所、樽づくり能力を約3倍に

ニッカウヰスキーが北海道の余市蒸溜所に新しい製樽棟を完成させ、ウイスキーを熟成させる樽をつくる能力を約3倍に引き上げる。

ウイスキー(イメージ)
ウイスキー(イメージ) — 写真: cottonbro studio(Pexels)

日本の大手ウイスキーメーカー、ニッカウヰスキー(本社・東京)は、北海道余市町にある北海道余市蒸溜所に新しい製樽棟を建てた。2026年8月6日には関係者を集めて竣工式を開き、建物の内部も案内した。近く本格的に稼働する予定で、樽をつくる能力は従来の約3倍になる。狙いは、ウイスキーの「原酒」を増やすことだ。原酒とは、ブレンドや瓶詰めの前に樽で熟成させているウイスキーそのものを指す。余市は、北海道の中心都市である札幌から西へ向かった日本海沿いの町である。

余市蒸溜所に完成した新しい製樽棟

製樽とは、ウイスキーを熟成させる木の樽を組み立てたり、修理したりする作業のこと。新しい棟ができたことで、この工程の能力が大きく高まる。北海道新聞によると、竣工式の参加者は新しい棟の中で設備の説明を受けた。蒸溜所が自分たちで用意できる樽の数が増えれば、熟成に回せる原酒の量も増やせる。今回の新棟は、その土台となる設備だ。

なぜ「樽」が増産の鍵になるのか

ウイスキーの色や香りの多くは、樽の中で過ごす年月から生まれる。蒸溜したばかりの液体は無色透明だが、木の樽で何年も眠るうちに琥珀色になり、木に由来する香りをまとっていく。そのため原酒を増やすには、蒸溜の設備だけでなく、原酒を詰める樽が欠かせない。ジャパニーズウイスキーは国内外で人気が高まる一方で、原酒の不足が続き、特に熟成年数を表示した銘柄は手に入りにくくなっていた。樽づくりの能力を高める今回の動きは、この供給不足への長期的な対策といえる。

成果がグラスに届くのは数年先

グラスに注がれたウイスキーに水を数滴加えて香りを確かめる様子
グラスに注がれたウイスキーに水を数滴加えて香りを確かめる様子 — 写真: Doug Brown(Pexels)

注意したいのは、いま樽を増やしても、その樽で熟成したウイスキーが市場に出るのはずっと先になるという点だ。製樽能力の拡大で店頭の品薄がすぐに解消されるわけではない。数年後、さらにその先の供給を支えるための投資である。

ヨーロッパでも、ニッカのウイスキーはウイスキー専門店やバーで扱われることがある。ボトルを選ぶときは、ラベルに「シングルモルト」(一つの蒸溜所で大麦麦芽だけを原料につくったウイスキー)と書かれているか、熟成年数が表示されているかを確かめるとよい。まずはストレートで飲み、次に水を数滴加えると、樽から来る香りがどう開くかを比べられる。原酒の増産が実を結ぶのは数年後になる。熟成年数を表示した商品がこの先どう増えていくか、注目したい。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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