330年の酒蔵が挑む樽熟成ジン、2027年完成へ
1688年創業の佐賀の酒蔵・光武酒造場が、大吟醸の技で造るジン「赤鳥居SAKE GIN」を樽で寝かせる長期熟成プロジェクトを初めて公開した。
日本の九州北西部にある佐賀県鹿島市で、1688年から酒を造り続けている光武酒造場(Mitsutake Shuzojo)。現在は14代目の光武博之氏が率いるこの蔵が、クラフトジン「赤鳥居SAKE GIN(Akatorii SAKE GIN)」を樽で熟成させる新しいプロジェクト「赤鳥居 SAKE GIN SPECIAL CASK EDITION」を発表しました。完成は2027年10月の予定です。蔵はこれを、樽の中でジンが育っていく時間そのものを楽しむ、新しいお酒の楽しみ方として打ち出しています。
日本酒蔵がジンを造る理由

光武酒造場は日本酒と焼酎(日本の蒸留酒)の蔵として知られ、日本酒「光武」や焼酎「魔界への誘い」は国内外のコンペティションで数多くの賞を受けてきました。赤鳥居SAKE GINは、この蔵が持つ蒸留の技術に、大吟醸の醸造ノウハウを組み合わせて生まれたジンです。大吟醸とは、米を半分以下まで磨いて低温でゆっくり発酵させる、日本酒の中でも特に香り高く繊細な等級のこと。そこに蔵が独自に選んだ佐賀県産のボタニカル(香りづけに使う植物)を合わせ、日本の風土に根ざしたジンを目指しました。当主は「330年続いてきた酒蔵だからこそ、次の100年を見据えた挑戦ができる」と語っています。
樽で寝かせ、3年かけて届けるジン
ジンは一般に、樽で寝かせずに瓶詰めする透明なお酒です。これを樽で熟成させると、木の香りや色、まろやかさが加わり、ウイスキーに近い奥行きが生まれます。今回の特別版はまさにその途中にあり、完成前のジンが初めて公開されました。あわせて、申し込むと3年にわたって熟成中のジンが届く「タイムカプセル定期便」と、樽単位でジンを持てる「カスクオーナー制度」も発表されています。同じジンが年ごとにどう変わるかを自分の手元で確かめられる仕組みで、蔵はこれを「未来の自分と乾杯する」体験と表現しています。
ヨーロッパでの楽しみ方
定期便やカスクオーナー制度が海外から申し込めるかどうかは、現時点では発表されていません。それでも、この話はヨーロッパのジン好きにとって注目に値します。ジン発祥の地に近いオランダをはじめ、ヨーロッパではジンにも熟成させたスタイルが広がっていますが、日本酒の技術から生まれたジンを樽で寝かせる例はまだ珍しいからです。日本のクラフトジンを見かけたら、まずは常温でストレートで、米由来の柔らかな甘みとボタニカルの香りを確かめてみてください。そのあとトニックで割ると、香りの違いがよくわかります。2027年秋の完成に向けて、熟成前のジンと樽熟成版がどう違うのかは、日本酒とジンの両方のファンにとって注目したいポイントになりそうです。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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