The Sake Wire

福岡の蔵がイタリア米で醸すSAKEに挑む

福岡のクラフトサケ醸造所LIBROMが、欧州有数の米どころ北イタリア・ヴェルチェッリに醸造所を構え、イタリア産の米と水で醸すSAKEに挑むと発表した。

ヨーロッパ有数の米どころ、北イタリアの水田
ヨーロッパ有数の米どころ、北イタリアの水田 — 写真: Nothing Ahead(Pexels)

福岡市のクラフトサケ醸造所LIBROM(リブロム)が、北イタリア・ピエモンテ州のヴェルチェッリにSAKEの醸造所を開設しました。2026年6月の発表時点で建物はすでに完成しており、醸造ライセンスの審査中。2026年7月からの醸造開始を目指していました。ヨーロッパの米と水で、日本の技術を使って醸すSAKEを、ヨーロッパの中から生み出す挑戦です。

10年越しの「イタリアでSAKEを」

輸出のイメージ
輸出のイメージ — 写真: Athanasios Papazacharias(Unsplash)

LIBROMは2020年5月に福岡市で開業した小さな醸造所です。代表の柳生光人(やぎゅう・みつと)さんは、23歳だった約10年前から「イタリアでSAKEを造る」という目標を持ち続け、日本での醸造と並行して準備を進めてきました。舞台に選んだヴェルチェッリは、欧州でも最大級の米の産地として知られる地域です。新しい醸造所では、原料を米と米麹だけに絞ったSAKEを中心に造り、独自ブランド「ONDA Sake」として展開する計画でした。なお、日本の制度では「日本酒(Japanese Sake)」を名乗れるのは日本産の米を使い日本国内で造られた酒に限られるため、この酒は「イタリア産のSAKE」という新しい位置づけになります。

イタリアの米と水、日本の造り

イタリア産Baldo米の粒を間近から写したクローズアップ
イタリア産Baldo米の粒を間近から写したクローズアップ — 写真: Mustafa Akın(Pexels)

発表によると、原料米にはイタリアで唯一DOP(EUの原産地名称保護)の認定を受けた有機栽培米「Baldo(バルド)」を使います。仕込み水は、ヨーロッパの水としては比較的硬度の低いヴェルチェッリの水です。造りには、麹・水・蒸米を3回に分けてタンクに加えていく日本酒の伝統的な「三段仕込み」と、香り高い大吟醸酒と同じ低温でじっくり発酵させる手法を採用。イタリアの食卓になじむ「イタリアン・サケ」を目指しています。初回醸造酒を返礼品とするクラウドファンディングは、CAMPFIREで2026年7月5日まで実施されました。

ヨーロッパの読者へ

ワイングラスに注がれた酒とリゾットの皿が並ぶテーブル
ワイングラスに注がれた酒とリゾットの皿が並ぶテーブル — 写真: Jana Ohajdova(Pexels)

これまでヨーロッパで飲むSAKEの多くは、日本から長い距離を運ばれてきたものでした。欧州産の米で造るSAKEが増えれば、輸送の距離が短くなり、地元の料理と合わせる楽しみ方も広がりそうです。「ONDA Sake」の名前を見かけたら、ワイングラスで香りを確かめ、リゾットなど同じ米を使った料理と合わせてみるのもよいでしょう。日本の蔵の酒と飲み比べれば、米と水の違いが味わいにどう表れるかを知る機会になるかもしれません。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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