The Sake Wire

300年超の酒蔵、投資会社の完全子会社に 長野・橘倉酒造

長野県佐久市で300年以上続く橘倉酒造が、東京の上場投資会社の完全子会社となりました。酒蔵の後継と資本をめぐる選択肢のひとつとして、業界の関心を集めそうです。

酒蔵(イメージ)
酒蔵(イメージ) — 写真: Cindy Bissig(Unsplash)

老舗酒蔵が投資会社の傘下へ

酒蔵(イメージ)
酒蔵(イメージ) — 写真: Celuici(wikimedia, CC BY-SA)

長野県は日本列島の中央にある、山々に囲まれた内陸の県です。その東部に位置する佐久市の臼田地区で、300年以上にわたって酒を造ってきた橘倉酒造(Kitsukura Shuzo)が、大きな転機を迎えました。信濃毎日新聞によると、東京証券取引所の最上位市場であるプライム市場に上場し、投資事業などを手がけるジャパンインベストメントアドバイザー(Japan Investment Adviser、略称JIA、本社・東京)が同社の全株式を取得し、完全子会社にしました。取得額や経営陣の体制、今後の酒造りの方針については、報道の公開部分からは明らかになっていません。

なぜ酒蔵に投資会社なのか

JIAは近年、地方の酒蔵への出資を進めており、今回の買収もその流れの中にあります。日本の酒蔵の多くは家族が代々受け継いできた小さな会社で、建物や設備の老朽化、次の世代への引き継ぎといった課題に、それぞれのやり方で向き合ってきました。たとえば岐阜県の三千櫻酒造は、蔵の老朽化をきっかけに約1,000km離れた北海道へ移転しました。千葉県の東灘醸造は一度は休造を決めながら、酒造りを続ける道を見つけています。外部の資本を受け入れ、会社ごと託すという橘倉酒造の決断は、こうした選択肢に新たな一例を加えるものです。

ヨーロッパの愛好家はどこに注目するか

経営者が変わっても、酒の味わいを形づくるのはその土地の水と米、そして造り手の技です。ヨーロッパで長野の酒を手に取るときは、裏ラベルや輸入元の資料で蔵名を確かめ、橘倉酒造の名前があれば、その背景にある300年の歴史にも目を向けてみてください。投資会社の傘下に入った蔵が、今後、輸出や商品構成をどう変えていくのか、あるいは変えないのかは、日本酒業界の行方を考えるひとつの材料になるかもしれません。気になる銘柄があれば、取扱店に蔵の近況を尋ねてみるのも、酒を楽しむひとつの方法です。

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