The Sake Wire

霧島酒造110周年、甕熟成と育種芋の記念焼酎

宮崎の霧島酒造が創業110周年を記念して、17年甕貯蔵の黒霧島と自社育種芋のKIRISHIMA No.8を、有田焼の名窯が監修したボトルで限定発売した。

焼酎(イメージ)
焼酎(イメージ) — 写真: cottonbro studio(Pexels)

九州南部・宮崎県都城市で1916年に創業した焼酎メーカー、霧島酒造(Kirishima Shuzo)は、2026年5月に創業110周年を迎えました。これを記念して、2種類の芋焼酎を組み合わせた限定セット「創業百十周年記念 百十寿(ひゃくじゅじゅ)」を、2026年10月8日から日本国内で販売しています。1本は同社の伝統を代表する「黒霧島」、もう1本は近年の挑戦を代表する「KIRISHIMA No.8」がベースです。どちらもアルコール度数30%、1100mlのボトル2本が化粧箱に入り、希望小売価格は税込18,000円です。

17年の甕熟成と、自社で育てた芋の原酒

熟成・貯蔵に使う素焼きの甕(かめ)が並ぶイメージ
熟成・貯蔵に使う素焼きの甕(かめ)が並ぶイメージ — 写真: HONG SON(Pexels)

本格焼酎(honkaku shochu)は、米や芋などの原料を麹で発酵させ、単式蒸留で1回だけ蒸留する日本の蒸留酒です。1本目の「渦文(うずもん)」は、17年間甕で貯蔵した黒霧島を中心に、複数の黒霧島の原酒をブレンドしています。熟成には日本の甕と中国の甕の2種類を使いました。長い甕熟成で角が取れたまろやかさと、どこか懐かしい余韻が特徴とされ、芋と甕の香りが穏やかに立ちのぼります。

2本目の「釉滴(ゆうてき)」は、霧島酒造がさつまいもの品種開発から自社で取り組み、2023年に発売したKIRISHIMA No.8が土台です。その原酒のうち、減圧蒸留(気圧を下げて低い温度で蒸留し、軽やかで華やかな香りを残す方法)の原酒だけを選んでブレンドしました。果物のようなみずみずしさと透明感のある甘みがあり、香りを引き立てるために度数を30%に設定しています。ブレンドを担当した酒質管理部の外村舞(Mai Tomura)氏によると、釉滴は開発の途中で一度白紙に戻し、味わいを一から設計し直したそうです。

有田焼の白磁の名門が監修したボトル

ろくろで形づくられた白磁の器
ろくろで形づくられた白磁の器 — 写真: Yan Krukau(Pexels)

ボトルのデザインは、九州北部の佐賀県有田町にある井上萬二窯(Inoue Manji Kiln)が監修しました。有田焼は400年以上の歴史をもつ日本を代表する磁器です。故・井上萬二氏は、絵付けをせず白さと形だけで美しさを表現する「白磁」の分野で、人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定された陶芸家でした。渦文のボトルは、井上氏が生前最後に監修した作品です。代表的な技法である渦の文様を、110周年にちなんで11本の線で表しています。釉滴のボトルは、孫にあたる3代目・井上祐希氏が監修しました。釉薬を大胆に使ったときに偶然生まれる模様が特徴です。どちらも窯元が有田焼で原型をつくり、それをもとにした金型でガラス瓶を製造しています。

ヨーロッパの読者へ

大きめの氷を一つ入れたロックグラスのイメージ(オン・ザ・ロック)
大きめの氷を一つ入れたロックグラスのイメージ(オン・ザ・ロック) — 写真: Marcelo Verfe(Pexels)

百十寿の販売エリアは日本国内で、海外向けの販売については発表されていません。それでも、このセットは芋焼酎の二つの方向性をよく表しています。長く甕で熟成させた深みのある味わいと、原料の品種改良と減圧蒸留による果実のような香りです。ヨーロッパで芋焼酎を見かけたら、ラベルで貯蔵方法や蒸留方法を確認すると、違いを知る手がかりになります。ブレンダーのおすすめはオン・ザ・ロックです。大きめの氷をひとつ入れ、温度が下がるにつれて香りがどう変わるかを味わう飲み方です。

参考・出典

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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