The Sake Wire

富士山の生ホップで仕込むドイツ流サワーエール

富士山麓の醸造所「富士桜高原麦酒」が、摘みたての地元産ホップで仕込んだ年に一度のサワービールを960本限定で発売した。

富士桜高原麦酒の限定ビール「Hopfen-Sauer~Fresh Hop 2026~」
富士桜高原麦酒の限定ビール「Hopfen-Sauer~Fresh Hop 2026~」 — 画像提供: 富士観光開発(PR TIMES)(プレスリリースより)

畑から醸造所へ、その日の朝のうちに

富士山麓の畑で収穫したばかりの富士山ホップ
富士山麓の畑で収穫したばかりの富士山ホップ — 画像提供: 富士観光開発(PR TIMES)(プレスリリースより)

富士桜高原麦酒は、山梨県富士河口湖町にある醸造所のビールブランドです。山梨県は東京の西にあり、この町は富士山の北側のふもとにあります。ここで使う「富士山ホップ」は、この町や隣の富士吉田市、忍野村など、富士山麓の5か所の畑で育つホップの地元ブランドです。新作「Hopfen-Sauer~Fresh Hop 2026~」には、香りと苦味のバランスがよい品種「カスケード」を選びました。ホップを収穫できるのは7〜8月の1週間から10日ほどだけで、摘んだホップは傷みやすいのが難点です。そこで地元の生産者組合の協力を得て、スタッフが朝から総出で摘み取り、醸造所に運び込むと同時に仕込みを始めました。

ゴーゼから着想を得たジャーマンサワーエール

富士桜高原麦酒のフレッシュホップ・サワービール
富士桜高原麦酒のフレッシュホップ・サワービール — 画像提供: 富士観光開発(PR TIMES)(プレスリリースより)

一般的なビール造りでは、乾燥させて粉砕し、小さく固めた「ペレット」状のホップを使います。生ホップを使うと、この加工で失われやすい揮発性の香りがそのまま残ります。醸造所が手本にしたのは、塩とコリアンダーを使うドイツの酸味のあるビール「ゴーゼ」です。ただしスパイスは加えず、ホップの香りを主役にしたジャーマンサワーエールに仕上げました。グラスからは酵母由来のトロピカルな香りと、青草や柑橘、ハーブティーを思わせる生ホップの香りが立ち上ります。口に含むと穏やかな酸味が広がります。アルコール度数は4.5%、苦味の指標IBUは11と控えめで、色は淡めです。フレッシュホップのビールはIPAで造られることが多いなか、あえてドイツのスタイルを選んだ点がこのビールの個性です。醸造所は、その年最初に摘んだ茶葉で作る日本の「新茶」にたとえています。

ドイツで学んだ技術と富士山の水

富士桜高原麦酒の醸造所で造られるビール
富士桜高原麦酒の醸造所で造られるビール — 画像提供: 富士観光開発(PR TIMES)(プレスリリースより)

富士桜高原麦酒は、ドイツの国家認定醸造学校「デーメンス醸造専門学校」で学んだ技術をもとにビールを造っています。水は富士山の伏流水で、原料の多くはドイツからの輸入です。基本的には濾過をせず、生きた酵母が残ったまま瓶に詰めます。定番はピルス、ヴァイツェン、燻製麦芽を使うラオホ、黒いヴァイツェンの4種類です。今回の限定品は330ml瓶で960本だけ造られ、醸造所に併設された店と日本国内の通販で販売されました。

このビールをヨーロッパで販売する予定は発表されていません。それでも注目したいのは、ドイツのビール文化を学んだ日本の醸造所が、地元のホップで独自の一杯を造ったという点です。秋はヨーロッパでもフレッシュホップ(ウェットホップ)ビールが出回る季節なので、近くの醸造所の一杯を味わうときに、日本の取り組みと比べてみると面白いでしょう。醸造所がすすめる料理は、チーズとシャルキュトリー、タコの唐揚げ、エビのチリソース、生春巻きなどです。塩気や軽い辛味のある料理と合わせると、酸味と青々しい香りが引き立つとされています。

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