The Sake Wire

奄美の黒糖焼酎、3蔵が新ブランドで再出発

奄美群島でしか造れない黒糖焼酎の3蔵が新ブランド「Discover AMAMI Spirits」を共同で立ち上げ、個性の違う3銘柄を9月2日に発売した。

奄美の黒糖焼酎3蔵による新ブランド「Discover AMAMI Spirits」
奄美の黒糖焼酎3蔵による新ブランド「Discover AMAMI Spirits」 — 画像提供: 株式会社パラドックス(PR TIMES)(プレスリリースより)

鹿児島県の南、九州と沖縄のあいだに連なる奄美群島で、黒糖焼酎の蔵3軒が共同で新ブランド「Discover AMAMI Spirits」を立ち上げた。黒糖焼酎は黒糖(サトウキビの搾り汁を煮詰めて固めた砂糖)を原料にした蒸留酒で、日本でこの名前で造ることが認められているのは奄美群島だけだ。参加したのは西平酒造、町田酒造、奄美大島酒造の3蔵。2026年9月2日に、各蔵が1本ずつ手がけた第一弾の3銘柄を発売した。ブランドづくりには東京のブランディング会社パラドックスが加わっている。

世界遺産登録の陰で縮む島の酒

奄美群島の3蔵が共同で立ち上げた「Discover AMAMI Spirits」
奄美群島の3蔵が共同で立ち上げた「Discover AMAMI Spirits」 — 画像提供: 株式会社パラドックス(PR TIMES)(プレスリリースより)

2024年、焼酎を含む日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され、海外からの関心は高まった。一方で、黒糖焼酎の消費は減り続けている。奄美の黒糖焼酎の出荷量(課税移出数量)は2005酒造年度の10,885キロリットルが最高で、2024酒造年度には6,365キロリットルまで落ち込んだ。約42%の減少だ。3蔵は、伝統を守るだけでは次の世代につながらないと考えた。黒糖焼酎をまだ知らない人にも手に取ってもらえるよう、酒の姿そのものを見直すことにした。ブランド名の「Spirits」には、蒸留酒という意味に加えて、島の自然や文化、造り手に宿る「奄美の精神」という意味も込めている。

3蔵、3通りの表現

第一弾として発売された3銘柄「符々」「星晴レ」「渾然」
第一弾として発売された3銘柄「符々」「星晴レ」「渾然」 — 画像提供: 株式会社パラドックス(PR TIMES)(プレスリリースより)

西平酒造の「符々(ふふ)」はアルコール度数22%。奄美の民謡「島唄」の繊細な揺らぎを表現した酒で、貯蔵庫で寝かせた原酒を、音を重ねるようにブレンドしている。町田酒造の「星晴レ(ほしばれ)」は35%。黒糖をたっぷり使いながらも、澄んだ軽やかな口当たりに仕上げ、夜空の星をイメージしたシャープな味わいだ。奄美大島酒造の「渾然」は40%。甕(かめ)で熟成した酒と樽で熟成した酒をブレンドした。琉球と大和(本土)の文化が交わってきた奄美の歴史を、複雑で奥行きのある味で表している。日本での価格は5,500〜6,930円(税込)で、焼酎としては高めのプレミアム路線をとる。

ヨーロッパでどう楽しむか

奄美の黒糖焼酎が描く、新しい蒸留酒のかたち
奄美の黒糖焼酎が描く、新しい蒸留酒のかたち — 画像提供: 株式会社パラドックス(PR TIMES)(プレスリリースより)

今回の3銘柄は日本国内での発売で、ヨーロッパでの販売予定は発表されていない。それでも、この動きは黒糖焼酎という酒を知るよい手がかりになる。黒糖焼酎は、ラムと同じくサトウキビ由来の甘い香りを持ちながら、日本の蒸留酒らしい穏やかさがある。ラムやブランデーが好きな人には入りやすい酒だ。ヨーロッパの日本酒専門店で黒糖焼酎を見つけたら、度数の低いものはロックや水割りで、度数の高い熟成タイプはストレートで少しずつ味わい、甕熟成と樽熟成の違いを比べてみてほしい。ラベルの蔵名に注目すれば、奄美の造り手ごとの個性も見えてくる。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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