米・水・蔵すべて福島市産、「摺上川」のひやおろし
福島市の温泉街の有志が、地元の酒米と川の水、市内の蔵だけで造る純米吟醸「摺上川」の秋限定ひやおろしが9月11日に発売された。

日本の東北地方南部にある福島市で、酒米、仕込み水、酒蔵のすべてを市内でそろえた日本酒「純米吟醸 摺上川(すりかみがわ)」の秋の季節酒「ひやおろし」が、2026年9月11日に発売された。地元紙の福島民友新聞が伝えた。原料から造りまでを一つの町で完結させる、小さな地酒プロジェクトの話だ。
温泉街の有志が始めた「本当の地酒」

日本では地元の酒を「地酒」と呼ぶが、原料の米や水の産地まで地元とは限らない。福島市北部の温泉地・飯坂温泉(いいざかおんせん)の有志がつくる「飯坂温泉地酒をつくる会」は、名前どおりの地酒を造ろうと2017年に活動を始めた。飯坂温泉観光協会と組んで、季節ごとに生酒、火入れ酒、ひやおろしを造っている。この取り組みは、福島県と福島民友新聞社が主催する地域づくりの表彰を昨年度に受けた。
福乃香、摺上川の水、金水晶酒造
米は、福島県が独自に開発した酒造好適米(酒造りに向く専用品種)「福乃香(ふくのか)」で、飯坂町東湯野地区で育てたもの。仕込み水は、温泉街の中心を流れる摺上川の上流から汲んでいる。醸造は市内の金水晶酒造(きんすいしょうしゅぞう)が担う。等級の「純米吟醸」は、醸造アルコールを加えず、米を外側から少なくとも40%削って造る、香りの立つタイプを指す。
秋だけの「ひやおろし」とは
一般的な日本酒は、貯蔵の前と出荷の前に2回、加熱殺菌(火入れ)をする。ひやおろしは春先に1回だけ火入れをして夏の間寝かせ、秋には2回目の火入れをせずに出荷する。夏を越して熟成が進み、口当たりがまろやかになるのが特徴だ。「摺上川」のひやおろしは720ml瓶で2450円。主に地元の酒店や道の駅で売られており、記事は海外での販売には触れていない。
この一本をヨーロッパで手に入れるのは難しいが、秋の季節酒は楽しめる。9月から11月ごろ、日本酒を扱う専門店やオンラインショップで「Hiyaoroshi」や「Akiagari」と書かれた限定酒を探してみてほしい。ラベルの「生詰(なまづめ)」も同じ造り方を示す目印になる。冷蔵庫から出して少し置いた10〜15℃前後か常温で飲むと、熟成によるまろやかさとうま味を感じやすい。キノコ料理や栗、カボチャ、ジビエなど秋の食材によく合う。また、米・水・蔵の産地をはっきり示した酒を選ぶことは、ワインのテロワールと同じ目線で日本酒を味わう入り口にもなる。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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