茨城の樽熟成スタウト、独品評会で国際部門最高位
茨城県境町のさかい河岸ブルワリーの樽熟成黒ビールが、ドイツの国際品評会で843銘柄中最高タイの98点を獲得した。

日本の小さな町の醸造所が、ビール大国ドイツの審査員を唸らせた。茨城県境町(東京の北東約50キロ、利根川沿いの町)にある「さかい河岸ブルワリー」の黒ビール「バレル・エイジド・ユナイテッド・スタウト」が、ドイツで開催された国際品評会「ファイネスト・ビア・セレクション2026」で国際部門の最高位「ビア・オブ・ザ・イヤー・インターナショナル」に選ばれた。読売新聞が2026年9月19日に報じた。
843銘柄の頂点に並ぶ98点

この品評会には世界各国の醸造所から843銘柄が出品され、国際部門とドイツ国内部門に分かれて50人の審査員が100点満点で採点した。受賞したスタウトは98点で、これはドイツ国内部門を含めた全銘柄の中で最高評価に並ぶ数字だった。審査員からは、エスプレッソやダークチョコレート、果実など多層的な香りが重なり、口当たりも良いと評価されたという。
醸造所を運営する安井商店は1915年に酒の問屋として創業した老舗で、ビール醸造を始めたのは2018年。わずか8年で国際的な頂点に立ったことになる。
ウイスキー樽で7か月、酒問屋の発想

受賞ビールの鍵は熟成方法にある。ステンレスタンクで発酵させた後、ウイスキー用の木樽に移して7か月かけて寝かせた。醸造責任者を務める安井健氏(社長・安井正博氏の長男)は、黒ビール本来の香ばしさに、木樽に由来するバニラのような香りが加わったと説明している。
背景には、この会社が2023年から隣県の栃木県小山市でウイスキー造りも手がけているという事情がある。ビールに何か付加価値を加えたいと考えた健氏が、樽熟成の技術とビール醸造を組み合わせることを思いつき、2026年1月に限定300本として世に出したのがこのスタウトだった。日本では日本酒や焼酎の蔵がウイスキーやビールに参入する例が増えており、複数の酒類を手がける造り手ならではの発想が国際舞台で結果を出した形だ。
醸造所の定番商品は330ml瓶6種類で、年間生産量は約7万本。受賞を受けて健氏は、これを励みにさらに品質を高めたいと語っている。
ヨーロッパの読者へ
限定300本のビールなので、ヨーロッパで同じボトルに出会うのは難しい。それでも注目すべき点は二つある。一つは、日本のクラフトビールがドイツの審査基準で最高評価を得たという事実で、日本産ビールを店頭で見かけたときの見方が変わるかもしれない。もう一つは「樽熟成スタウト」というスタイルそのもの。バーボンやウイスキー樽で寝かせたインペリアルスタウトはヨーロッパのクラフトビール店でも見つかることがあるので、エスプレッソ、ダークチョコレート、バニラ、果実といった審査員の言葉を手がかりに、常温に近い温度でゆっくり香りの重なりを追ってみてほしい。この醸造所の定番ビールが今後ヨーロッパの輸入業者の目に留まるかどうかも、続報を待ちたいところだ。
参考・出典
読売新聞「境のビール 世界に発信 重なる香り、口当たり評価」(2026年9月19日)
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