秩父蒸溜所、英国向け4作に初の二蒸溜所ブレンド
イチローズモルトの秩父蒸溜所が英国限定の新作4種を発表し、第一・第二蒸溜所の原酒を初めて合わせた一本が10月に登場した。

イチローズモルトで知られる埼玉県の秩父蒸溜所が、英国市場向けの新作ウイスキー4種を発表した。10月1日から英国内の取扱店で順次販売され、10月2日から4日にロンドンで開かれた「ザ・ウイスキーショー2026」にも出展された。目玉は、同社が秩父に持つ2つの蒸溜所の原酒を初めて合わせた「イチローズモルト秩父 ダブルディスティラリーズ」だ。
第一と第二、初めて交わる原酒
秩父蒸溜所は東京の北西、埼玉県秩父市にあり、2018年に第二蒸溜所が稼働を始めた。同じ会社の施設だが原酒の性格は異なり、第一蒸溜所はフルーティー、第二蒸溜所はより厚みのあるフルボディとされる。「ダブルディスティラリーズ」は両者を組み合わせた初の製品で、一つの土地で生まれた二つの個性を一杯で比べられる構成になっている。
背景には、モルトもグレーンも自社で造る「完全自社製ジャパニーズ・ブレンデッド」への動きがある。同社は北海道苫小牧にグレーン蒸溜所も持ち、秩父2拠点のモルト生産量約31万リットルに苫小牧の生産能力240万リットルが加わる体制が整いつつある。今回の秩父内ブレンドは、その構想へ向かう手前の一歩と読める。
ピート、シェリー、そして武者絵の完結編
「秩父蒸溜所II ヒント・オブ・シェリー」は第二蒸溜所の原酒を5〜6年熟成し、シェリー樽とバーボン樽を合わせ、一部に泥炭で燻したピーテッドモルトを使った。「秩父 ザ・ピーテッド2026」は2022年以来となるヘビリーピート単独のリリースで、フェノール値50ppmまで燻した原酒を用いる。アイラ系のスモーキーな味を好む読者には最も分かりやすい一本だろう。
英国限定シリーズ第9弾「イチローズモルト秩父 ロンドンエディション2026」は、第一蒸溜所の16樽を合わせたもので、ニュージーランドとカリフォルニアのワイン樽2樽を含む。ラベルはエリクサー・ディスティラーズのクリエイティブディレクター、ラジ・チャブダ氏による「ウォリアーシリーズ」の第3弾にして最終章。浮世絵の武者絵をもとに、守護や知恵、変容、再生の象徴である蛇と向き合う武士を描き、光に反応して絵が浮かび上がる加工が施されている。4本の価格帯は110〜211ポンドだ。
ヨーロッパの読者はどう楽しむか
4本とも販売は英国内の取扱店とショー会場に限られていた。大陸側の読者は、英国の専門店が国外発送に対応しているかをまず確認したい。10月初旬のロンドンでは、会場で4本を並べて試せる貴重な機会があった。入手が難しくても、「第一はフルーティー、第二はフルボディ」という秩父の二つの顔を知っておけば、今後ヨーロッパに入ってくる秩父のボトルを選ぶ手がかりになる。ピート好きは50ppmという数字を、ラベル好きは光で浮かぶ武者絵を、それぞれ注目点にしてほしい。
参考・出典
本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。
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