The Sake Wire

稲とアガベ、アジアの素材で世界向けクラフトサケ

秋田・男鹿の稲とアガベが、アジア5地域の素材を使ったクラフトサケ「ASIAN WISDOM」を発表、海外市場を見据えた千本限定の新作だ。

実りの稲穂(イメージ)
実りの稲穂(イメージ) — 写真: MITSUKI SAWA(Pexels)

稲とアガベ(Inato Agave)は、日本の本州北部・秋田県の日本海側にある男鹿市を拠点とする醸造所で、代表の岡住修兵(Shuhei Okazumi)氏が率いる。9月9日、岡住氏は東京で記者会見を開き、新商品「ASIAN WISDOM(アジアン・ウィズダム)」を発表した。海外での販売が好調なことを追い風に、最初からグローバル市場を意識して開発したという。9月16日から東京・千代田区の大丸東京店で開かれた同社初の単独催事で、1000本限定で販売された。

「クラフトサケ」という新しいジャンル

麹米(イメージ)
麹米(イメージ) — 写真: Cindy Bissig(Unsplash)

稲とアガベが手がけるのは「クラフトサケ」と呼ばれる酒だ。日本酒(清酒)の醸造技術を土台にしながら、米と米麹に果物などの副原料を加えて仕込む、ここ数年で広がった新しいカテゴリーである。日本の分類上は伝統的な清酒とは区別されるが、造りの根幹は日本酒そのものだ。ヨーロッパの読者にとっては、ワインの技術で造るフレーバードワインや、ビールの延長にあるフルーツビールに近い位置づけと考えると分かりやすい。

5つの地域、5つの香り

アジア各地の素材をイメージした香辛料とハーブ
アジア各地の素材をイメージした香辛料とハーブ — 写真: Diana Reyes(Pexels)

この酒の核にあるのは、アジア各地から選んだ5つの素材だ。日本からはホップの近縁種である唐花草(からはなそう)。韓国からは甘味・酸味・苦味・辛味・塩味の五つの味を併せ持つとされる果実、朝鮮五味子(オミジャ)。中国からはキンモクセイの花の香りを移したお茶、桂花茶。台湾からはシナモンやミントを思わせる香りで知られる紅茶、紅玉紅茶。そしてインドネシアからは、甘く濃厚でスパイシーなクローブ。これらを米と米麹に組み合わせ、一本の酒に仕立てている。

ハーブ、ベリー、花、茶、スパイスという組み合わせは、ジンやベルモットに親しんだヨーロッパの飲み手にはむしろ馴染みやすいはずだ。ホップの近縁種を使う点はクラフトビールとの接点でもあり、清酒の枠を超えて「アジアの発酵飲料」として自らを位置づけようとする意図が読み取れる。

輸出を追い風に、世界市場へ

アガベ(リュウゼツラン)の畑(イメージ)
アガベ(リュウゼツラン)の畑(イメージ) — 写真: Dylan Freedom(Unsplash)

稲とアガベは近年、海外への販売を伸ばしてきた。今回の新作は、その手応えを商品開発に直接反映させた例といえる。日本国内の限定販売から始まったとはいえ、開発の視線は最初から海外に向いている。日本酒の輸出が拡大するなかで、伝統的な清酒だけでなく、副原料を使った新ジャンルの酒が「次の一手」として海外市場を狙い始めている点は注目に値する。

ヨーロッパの読者へ

ジンやハーブリキュールのような副原料の香りを楽しむイメージ
ジンやハーブリキュールのような副原料の香りを楽しむイメージ — 写真: Peter Fazekas(Pexels)

ASIAN WISDOMそのものは発売時点では東京での限定販売にとどまったが、稲とアガベのクラフトサケはすでに海外へ出ている。ヨーロッパで探すなら、日本酒専門のインポーターやレストランで「クラフトサケ」「稲とアガベ」の名前を挙げてみてほしい。味わう際は、まず冷やしてワイングラスで香りを取り、次に少し温度を上げて米由来の旨味と副原料の香りがどう絡むかを確かめるのがおすすめだ。ジンやハーブリキュール、フルーツビールが好きな人ほど、このジャンルの面白さがつかみやすい。この新作が海外に届く日が来たら、五つの素材のどれが最初に香るかを当ててみる——そんな楽しみ方が待っている。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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