The Sake Wire

養命酒、飲食事業を山田養蜂場へ 本業はツムラ傘下に

日本の老舗薬用酒メーカー養命酒製造が、レストランやベーカリーの事業を山田養蜂場に売り、薬用酒の本業に力を集めます。

何が決まったのか

木の棚にパンが並ぶベーカリーの店頭
木の棚にパンが並ぶベーカリーの店頭 — 写真: wal_ 172619(Pexels)

2026年5月13日、薬用酒メーカーの養命酒製造(Yomeishu Seizo)は、レストランやベーカリーなどの飲食・物販事業を山田養蜂場(Yamada Bee Farm)に売ると発表しました。養命酒製造は長野県駒ヶ根市に工場を持つ会社です。山田養蜂場は岡山県に本社があり、蜂蜜製品や健康食品で知られています。売却する事業は新しい会社に移し、7月末をめどにその株式をすべて山田養蜂場に渡す計画でした。金額は公表されていません。対象は東京都と長野県にある6店舗です。また、駒ヶ根工場の隣にある商業施設「くらすわの森」は、一部の施設を休止することが決まりました。

背景にある経営体制の変化

契約書に署名する手元
契約書に署名する手元 — 写真: https://kaboompics.com/(Pexels)

養命酒製造の株式については、投資会社レノ(Reno)による株式公開買い付け(TOB)がすでに成立しています。レノは、投資家の村上世彰(Yoshiaki Murakami)氏らが関わる東京の会社です。会社は臨時株主総会を開いたうえで上場をやめる予定でした。5月の発表の時点では、漢方薬の大手ツムラ(Tsumura)がそのあと全株式を取得し、完全子会社にする見通しとされていました。漢方薬とは、日本の伝統的な生薬の処方にもとづく薬です。ツムラと組んで効果を出しやすいのは主力商品の「薬用養命酒」です。そのため、飲食・物販事業は売るか縮小する方針がすでに決まっていました。そして、健康食品に強い山田養蜂場がふさわしい引き受け手と判断されました。

「薬用酒」とはどんなお酒か

薬用養命酒は、薬草や樹皮、根などの生薬を酒に漬け込んで造る、甘くて色の濃いお酒です。日本酒や焼酎とは別の種類ですが、植物の成分を酒に移すという考え方は、ヨーロッパの修道院で造られてきたハーブリキュールや薬草系のビターズとよく似ています。今回の再編により、老舗ブランドは外食や小売りといった周辺の事業を手放します。そして、健康や医薬の分野で薬用酒の価値を高めることに集中する形になります。

ヨーロッパの読者にとって、見どころは二つあります。一つ目は、伝統ある日本の酒類ブランドが医薬品企業の傘下に入ることで、これから商品の開発や海外での売り出し方がどう変わるかです。二つ目は、日本のお酒には日本酒や焼酎のほかに、体をいたわるための生薬入りのお酒の文化もあるということです。ヨーロッパの販売店で日本のハーブ系リキュールや梅酒を見つけたときは、地元の薬草酒との共通点と違いに目を向けると、それぞれの文化の背景が見えてきます。

参考・出典

本記事は上記の公開情報をもとに The Sake Wire 編集部が要約・執筆したものです。画像は自社素材を使用しています。

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